世界情勢の不安定化
2023年は、中国の偵察気球飛行やロシアの反乱、ハマスによるイスラエル攻撃など、世界情勢が不安定化した年でした。しかし、世界経済は大きな波乱はなく、国際通貨基金(IMF)の報告によれば、成長率はほとんど変わらず。一方で、2023年は「インフレ」「利上げ」「景気減速」が主要テーマとなりました。各国で物価上昇が続き、多くの中央銀行が利上げを行ったことでインフレ率は減少し、景気の減速感が強まってきています。
各国の景気動向のバラつき
米国では消費が堅調でしたが、ユーロ圏や中国では景気が弱まりました。特に、ドイツ経済はエネルギー価格上昇の影響でマイナス成長に転じる可能性があり、経済活動の正常化の終了とともに各国の構造的な問題が浮き彫りになった結果でした。
2024年の展望では、世界経済成長率は+2.9%と予想されています。インフレ率や金利水準は高水準にとどまり、これが家計や設備投資に影響を与える可能性も。しかし、インフレ率は低下傾向にあり、多くの国でピークを過ぎたと見られています。そのため、市場では2024年半ばには主要中銀が利下げに転じるとの見方も広がってきています。
ただし、インフレ再燃や中国経済の動向など、いくつかのリスク要因も存在します。インフレ再燃が起これば、世界的な株価の調整や日米金利差拡大のリスクが高まる可能性も。また、中国経済の低迷が世界的な不況を引き起こすことも考えられます。これらのリスクには十分に警戒していきましょう。
投資リスクや影響は?
2024年は選挙イヤーであり、各国で重要な選挙が予定されています。米国では11月に大統領選挙が控えており、バイデン大統領とトランプ前大統領の対決が注目されています。しかし、バイデン大統領の再選には高齢批判や法的問題が影響を与える可能性も。他の国々でも選挙が行われるため、政治的な不透明感が世界中で広がっています。
地政学リスクの高まりにも警戒が必要です。特に台湾では親米路線の民進党が優勢ですが、中国の台湾統一への圧力が続いています。台湾は半導体生産で重要な役割を果たしており、台湾有事は世界経済に大きな影響を与える可能性も考慮しておきましょう。
選挙イヤーにおけるリスク要因は、政治的不確実性、地政学的緊張、財政政策の変化、金融政策の変更、そしてグローバルな市場の不安定化が挙げられます。選挙期間中は政治的な不透明感が高まり、新政権や政策の変化によって市場への影響が生じる可能性も。また、国際情勢の不安定化や地域紛争の激化によって、投資環境が不安定化するリスクも存在します。新政権の誕生や政策の変更によって財政政策や金融政策が変化する可能性も考えられますので、株式市場や通貨市場、原油市場などに影響を与える恐れがあるでしょう。